第2回「会報誌を作ってみたよ。」
September 11, 2025
pixivFANBOXで連載していたメディア運営に関するエッセイです。
前回、作品集の販売を始めることにしたけど、あづまのサイトでは、作品ごとに非公開にする機能がないので困っちゃった・・・。
というお話をしました。
そこで、「まんが。」ページをパスワードアクセス制にしようと決めたのですが、そのパスワードをどうやって配布すればいいんだろう・・・?ということで、また立ち止まってしまいました。
・SNSの非公開アカウントを作って配布する→でも、フォローの承認の基準はどうする?
・サイトに会員登録機能があるので、それを利用する→でも、メールアドレスを登録してもらわないといけないので、個人情報の管理をしないといけない。
で、色々考えた結果思いついたのが、会報誌的なお手紙を毎月作って、そこにパスワードを記載したものを「お試し読み券」として販売する。という方法でした。
こんなことを言っちゃうと、「会報誌」として楽しんでいただいてる方は、ちょっと嫌かもしれませんが、最初は「パスワードを買ってもらう仕組み」として考えたものだったのです。
「作品を買う」んじゃなくて、「パスワードを買って読む」という方法は、読者の方にとってあまり馴染みがない方法だし、正直手間のかかる面倒な方法だと思います。
でも、そこまでの手続きを踏んで、「それでもあづまの作品を読みたい」と思ってくださった読者さんこそ、あづまは本当に大切にしたいと思っています。
今はオンラインで、無料で漫画を読む方法がたくさんあるし、膨大な作品の中 から、あづまの作品に辿り着く人は、そう多くないと思います。
でも、作家さんはみなさん、どの作品も真剣に作っています。
「読んでもらえるだけ嬉しい」「作品を知ってもらえるだけありがたい」という気持ちは当然あるのですが、本音を言うと、「真剣に作ったものだから、読む人にも真剣に向き合ってもらいたい」という気持ちも、作家としてはやっぱりあります。
あづまは、漫画歴が浅いうちに、商業の世界に入ってしまったので、常に編集者の目がある中で作品を作ってきました。
作家の視点と編集者の視点は、やっぱり全然違います。そして、当然ながら、読者の視点もまた違います。
それは承知の上ではありますが、本来漫画って何を描いてもいいはずなんです。
あづまの描いてるような、女性が描く「性」を扱った内省的な作品も、メジャー青年誌に存在していいはずなのです。(あえて、「女性が描く」という文言を入れました。なぜか、こういう題材は、作家の性別・ジェンダーを重視されるからです。)
でも、商業のフィルターを通すと、(青年誌に限った話なのかもしれませんが、そこは自分の経験でしか話せないのでわかりません)「もっと気軽に読めるもの」「間口を広く」「ビジュアルのかわいさで惹きつける」ということを言われます。
それらの要素がなかったとしても、読者に「これはこう読むのですよ」という手引きをあらかじめ示しておけば、作品を楽しむことができると思うのです。
映画の予告編と同じです。予告編で、「エンタメ」「コメディ」「スペクタクル」にしちゃって、実際の作品を観た人たちが戸惑っちゃう。ということは、よくある話です。
「作品を楽しむ」って、「おもしろい」「楽しい」という感情が湧く。ということだけではないと思います。どんな感想を持ったとしても、「作品を正しく解釈する」ことが、「作品を楽しむ」ことだと思います。
そして、その手助けというか道標を作るのが、編集者の役割だと思うのですが、残念ながら、あづまは今まで「拗らせ恋愛もの」としてしか売ってもらえない、または、そういう方向性を強化させようとする方としか、巡り会えてきませんでした。
(『この恋は変ですか?』の担当の方には、新しい方向性を提案していただいて、大変ありがたく思っています。)
で、自分のサイトを作って作品集を出すことにした。という流れは、前回までにお話ししたとおりですが、「会報誌」という仕組み・窓口を作ることによって、読者の方にも「我妻ひかり」という作家の、「作家」としての姿勢を示すことができるんじゃないか。と、今は考えています。
とはいえ、作品はやっぱり読んでもらわないと世に出す意味がないと思っているので、今は「どうやって読者の方を増やしていくか。」ということが、メディアを運営していく上での、1番の課題だと思っています。
FANBOXも作品への入り口になってくれたら嬉しいと思っているのですが、なかなか難しいですね・・・。
でも、今のやり方を、とにかく続けていくことが大事だと思っています。
今は多くの方に知られていない・届いていなかったとしても、あづまは自分のサイトやFANBOXを「内輪だけの空間」にするつもりは全然ないです。
もちろん、現在応援していただいてる方、ずっと見守りにきてくださってる方のことは、とてもとても大切に思っています。それは大前提として、新しく入ってきた人にとっても、「開かれた」場所であってほしい。と思っているのです。
閉じた空間に設計しておきながら、「開かれた場所にしたい。」というのは矛盾してしてるかもしれませんが、きちんとメディアとして、作品やコンテンツのクオリティ、公共性、充実度を意識して活動していきたいと思います。
理想というか、志ばかり大きくて、実務がなかなか伴ってないかもしれませんが、全ては作家として、あづまのことを本当に必要としてくれる人たちに、作品を届けれるようにするためです。
誤読の経験がなければ、作品だけ静かに黙々と描いていたのかもしれません。
そういう生活が、今でも理想ではあります。
といったところで、今回はこの辺でおしまいにします。
次回は、「性表現と年齢規制」について書こうかと思います。
では、また次回よき時に。
(作品も頑張って描きます(>_<))