第8回「自分で紙の本作って売るのってどうなの?」
2026年3月10日
pixivFANBOXで連載していたメディア運営に関するエッセイです。
紙の本を今まで5冊作りました。
『ぱんくめいどちゃん。』のイラスト集と、『がぁーるずぱわぁ〜。』、FANBOX連載の文章のまとめ本2冊、それから、今までのアーカイブ全集として『それでも死ななかった。』
楽しかったです。とても。そして、今後もたくさん作りたいです。
商業連載でも紙の単行本を出したことあるけれど、その時と比べて、楽しさが全然違います。
正直、『パコちゃん』描いてた時は、単行本作業嫌いでした。なぜなら、「自分が今何をやっているのか、あんまりわかってなかったから」です。
自分の作品の本だけど、編集・デザイン・装丁は、あづまの仕事ではありません。各々のプロにお任せしてやっていただくことになります。もちろん、方向性の提案や、仕上がりチェックはできるので、丸投げというわけではないのですが、なんだかあんまり楽しくなかった。
で、自分で本を作ってみて、「そうか。『パコちゃん』の時は、’’本として新しい作品を作る’’という意識がなかったからつ まんなかったのか。」と気づきました。
『パコちゃん』はウェブ連載でした。隔週基本16ページ。
ウェブ上で一話ずつ更新を追って読むのと、紙の本でまとめて読むのでは、当たり前ですが全然違う読書体験になります。
単行本から『パコちゃん』に入った人は、「『パコちゃん』1巻という本を読む」という体験をします。
あづまはそこがわかってなかったのです。
「連載作を掲載順にまとめた本」という理解の仕方しかしてなかった。だから、楽しくなかったんだと思います。
『パコちゃん』は続きものなので、掲載順は動かせないですが、 まとめて一冊の本として読んだ時のことをもう少し意識して、原稿の修正などすればよかったかもしれないな・・・。と思っています。
単行本収録時に、原稿の修正作業の時間がもらえます。でも、あづまはほとんど直しませんでした。一度描いた絵に手をいれることがあまり好きではなく(『パコちゃん』の頃は特に、その瞬間の感情を描きとめるような描き方をしていたので)、台詞も言葉を変えたりすると、リズムが変わってしまうので、明らかな誤字やミス以外は、ほとんど手を加えませんでした。
それでも、『パコちゃん』が悪い本になったとは思ってません。
結果的に、その「手を加えてなさ」が、作品の性質と内容に合っていたんだと思います。でも、今みたいな「本として作り直す」という視点を持っていれば、もう少し単行本作業が楽しいものになっていたかも・・・。とは思います。
コミティア初出展のために作った作品集、『がぁーるずぱわぁ〜。』
この本は、正にただのまとめ本ではなく、既存の作品を「本」として新しい表現の形にしたものでした。
あづまの作品は、オンライン上で読めます。500円で「べっどるーむ。」の作品が全て読めます。
でも、ほとんど既存の作品で、500円以上する本なのに、作品集を買ってくれた方がいます。それは、「紙の本で読むことに価値がある」と思ってる方がいるということです。
もちろん、あとがきとか描き下ろしイラストとか、作品集でしか読めないものもあります。
でも、同じ内容で、電子書籍として販売したら?
買う人がいたかは、ちょっと疑問なのです・・・。
アーカイブ全集『それでも死ななかった。』は、PDFでダウンロード販売もしてましたが、正直売れませんでした・・・。
でも、ほとんど同じ内容で、「紙の本」として作り替えたら、ご予約してくださる方がおりました。
この違いはなんなのでしょう?
やっぱり、「作品として物理的に所有したい」「装丁やデザイン込みでの読書体験がしたい」と思ってくださる方がいるのだと思います。
作家としてこれはとても嬉しいことです。だって、一過性のものではなく、「長く手元に置きたい」「自分の本棚に並べたい」と思ってもらえるものを、作ることができているのだから。
自分のサイト作ったり、ダウンロード販売してみたり、SNS頑張ってみたり、色々やってみましたが、あづまの読者の方たちが求めているのは、「紙の本」なのだな。とやっと腑に落ちました。
そして、漫画だけじゃなく、文章の本も買ってくださる方がいました。これは、作品単体だけでなく、「作家としての考え」ごと知りたい、興味がある、追いかけたい。と思う人がいるということです。
これも大変ありがたい。
漫画を描くだけじゃなく、「本を作る」という作業自体があづまは楽しいです。
編集、デザイン、装丁。そ して、広報や流通の仕組みを考えること。全部引っくるめて「創作」だと思ってます。
めちゃくちゃ楽しい。
でも、楽しいだけじゃ、飯の種にはなかなかならないから、ちゃんと「1人出版社」として事業として成立するように、これからさらに仕組みづくりを強化していきたいと思います。
「1人出版社」として、安定して収入を得られるようになったら、商業誌に依存しなくてよくなる。
「商業誌での仕事を完全にやめる」というわけではなく、「作家として、経済的に弱い立場であることを理由に、構造上の上下関係ができてしまう」ことをなくしたいです。
とりあえず、今は作品をたくさん描いて、「べっどるーむ。」発行の本を増やして、「1人出版社」としての実態を強化していきたいと思います。
といったところで、今日はこの辺で。
次回の内容は未定ですが、広報とか流通の仕組みについて考えてみようと思います。
では、また次回良き時に。
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※じゆう研究の連載は、2026年6月創刊の季刊誌『ねごと。』へお引越しします。
創刊号には、第9回より掲載を開始します。